桜が咲くと、そろそろ夏きものが見たくなりません? 絽、紗、麻、上布、ちぢみ・・・素材も風合も多彩な夏きもの。
でも「紋紗」は、めっきり見かけなくなりました。よく夏のコート地として地紋を織り込んだ紋紗が販売されていますが、
それとは全っ然ちがう、手織物の「紋紗」といえば、日本伝統工芸展でも数々の受賞歴のある染織作家、松田えり子さん!
姫丸も何度か拝見しましたが、やわらかな透け感に草木で染めた優しい色、美しい清涼感に、うっとり〜 な夏の衣です。
その松田さんの作品展 ―ゆらぐ光、そよぐ風― が、銀座のシンボル・和光本館の6階ホールで開催されます。入場無料!
松田えり子染織展 ―ゆらぐ光、そよぐ風―
貴重な国産シルクを故郷である福岡県田川市で採った草木で染め、精細な紋紗の作品を創作する染織家・松田えり子さん。
二十代の頃、社会人の南米アンデス女性登山隊に参加しペルーやボリビアの山々を旅したのち、グアテマラの村で中南米の素朴な織物に魅了されました。インディオの女性から織を習い、染織の世界へと第一歩を踏み出すことに。帰国後、羅織の第一人者、京都・西陣の北村武資氏のもとで修業されます。そこで学んだ振綜絖による綟り織により、美しく端正な着物や帯を織り続けています。
平安時代からの薄衣である紗は、この綟り織を用いて織られ、この紗組織と平織を組み合わせて模様が織り出されている織が紋紗です。糸で作られた振綜絖を用いて二本の経糸を綟り、緯糸を通します。経緯の糸が密につまった平織と比べ、変化に富んだ隙間が生まれ、透けた清涼感のある織物が誕生します。「田川の自然からいただいた草木で染めて、作品で爽やかな風を吹かせることができれば」と今の熱い思いを語られます。自らも草木に癒されながら、真摯に制作に向かう松田さんの織の世界をご体感ください。
*銀座和光 公式サイトの展覧会案内より、転載させていただきました。
日本工芸会の作家紹介を見る → 松田えり子さんの作品