緊急事態宣言発出のため、発出期間中は臨時休館になります。
染のキモノの色といえば、はんなり、とか、侘び寂び、とかいうイメージの、薄淡い色を連想しますが。
日本の色といえば「鮮やかな色彩こそが日本の伝統色」なのだそうです。
昔ながらの手法による植物染で日本の伝統色を染め、染織史家としても活躍された「染司よしおか」5代目当主であった吉岡幸雄氏。その業績を回顧する追悼展が、京都・細見美術館で開催されます。
2021年の初旅は、日本の自然から生み出された美しい文化、日本の色の世界へ、出かけてみてはいかが。
特別展「日本の色 ―吉岡幸雄の仕事と蒐集―」
本展は、昨秋、急逝した染織史家・吉岡幸雄氏を追悼し、その業績を回顧する没後初の展覧会です。
吉岡幸雄は、京都で江戸時代から続く染色工房の五代目当主であり、染織史家でもありました。吉岡は古来の文献をひもとき、伝世の染織遺品をはじめ古今東西の美術工芸を学んで伝統の色彩を求めました。各地に伝わる染料・素材・技術を訪ねて、その保存と復興に努め、社寺の祭祀、古典文学などにみる色彩や装束の再現・復元にも力を尽くしました。
本展では、吉岡幸雄の美への憧憬と本質を見極める眼、そしてあくなき探求心によって成し遂げられた仕事と蒐集の軌跡を紹介します。
開催中の特別展「日本の色―吉岡幸雄の仕事と蒐集―」は好評につき、5月9日(日)まで会期を延長することにいたしました。
会期延長に伴い、更なる展示替えを行いました。植物染の技法で再現した源氏物語の衣裳と、吉岡の仕事の源泉ともなった蒐集品 約10点を新たに加え、これまで以上に吉岡幸雄が探求し続けた日本の色の世界をご覧いただけます。
<4月14日以降、新たにご紹介する主な作品>
【『源氏物語』「絵合」 麹塵の袍と下襲】
冷泉帝が絵合をご覧になっている場面の衣裳を再現したもの。麹塵(きくじん)は、天皇や公家など一定の地位の人以外は着ることを禁じられた色。
【古渡更紗 ネクタイ】
インド更紗の赤地の木綿古裂を好んだという吉岡の愛用品。氏のおしゃれ心を垣間見ることができる。
これまで同様に「源氏物語 澪標」、「源氏物語 蘇芳のかさね」、「源氏物語 桜の細長」、「正倉院裂」、「古代印度更紗(赤星家旧蔵)」、「古裂帖(旧野村コレクション)」も引き続きおたのしみご覧いただけます。
会 期:2021年1月5日(火)~ 5月9日(日)
イベントAM10:00〜PM5:00 月曜休館(5月3日は開館)6日休館
会 場:細見美術館 京都・岡崎
入館料:一般1,400円、学生1,100円
公 式:細見美術館 公式サイト
吉岡幸雄(よしおか・さちお)プロフィール
昭和21年、京都市生まれ。昭和48年、図書出版「紫紅社」を設立。美術工芸の雑誌・全集・豪華本などを編集・ 出版。CM制作、美術展覧会の企画にも携わる。昭和63年、生家「染司よしおか」五代目当主を嗣ぐ。平成3-5年、薬師寺三蔵院の幡、薬師寺「玄奘三蔵会大祭」の伎楽装束、東大寺の伎楽装束を制作。平成20年、源氏物語の色五十四帖を再現。平成21年、京都府文化賞功労賞受賞。平成22年、菊池寛賞受賞、平成24年、NHK 放送文化賞受賞。令和元年9月、出張講演先にて急逝。
主な著書: 『日本の色辞典』・『源氏物語の色辞典』・ 『王朝のかさね色辞典』(紫紅社刊)、『千年の色 古き日本の美しさ』(PHP研究所)など多数。
京都の染織史家 吉岡幸雄と染色工房の公式サイト → こちら